研究レポート

 

「ネットモラルけんてい」に関する研究発表が行われました

 平成25年3月2日、三重大学に於いて日本教育工学会研究会(テーマ:「ICTを活用した教育実践と授業改善/一般」)が開催され、玉川大学教職大学院 堀田龍也 教授が「ネットモラルけんてい」の開発コンセプトに加えて、「ネットモラルけんてい」10種類を使った調査・分析結果が発表されました。
以下に抜粋して紹介します。

 

堀田龍也, 高橋純, 高坂貴宏, 平松茂, 桐野志摩美(2013.3)
情報モラル学習に気軽に取り組むための「ネットモラルけんてい」の開発
日本教育工学会研究報告集 JSET13-1, pp.361-368

 

情報モラル学習に気軽に取り組むための「ネットモラルけんてい」の開発

<あらまし>

 情報モラルに関する学習を,日常の学校生活の中で気軽に取り組んでもらうために,児童生徒の情報モラルの知識や判断力を判定する問題集「ネットモラルけんてい」を開発した.「ネットモラルけんてい」は,小学校低学年から中学生までを対象とし,4 レベル10 種類の問題用紙で構成されている.第1 レベルの小学校低学年向け1 種類は2択×5 問,第2 レベル以上の9 種類は4 択×10 問で構成され,5~10 分程度の短時間で気軽に取り組むことができる.2012 年11 月に,全国の小・中学校の教員208 名の協力により,10 種類の問題用紙に対し延べ17,024 枚分の回答を得た.分析の結果,掲示板等での情報発信やファイル共有,著作権に関する問題の正答率が低かった.

問題用紙例

問題用紙例
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<調査詳細>

 「ネットモラルけんてい」が実際の児童生徒の活用に適した教材となっているかについて検証するために,学校現場で活用してもらい,その回答分布について調査した.全国各地の教員が参加する教育関係のメーリングリストを通じ,調査協力者を募った.調査期間は平成24 年11 月3 日~30 日であった.調査協力者は,小・中学校の教員208 名であった.この208 名の教員が担当する児童生徒が取り組んだ回答用紙17,024 枚を得た.これは,問題用紙全10 種類分の合計枚数である.

表1 正答率が70%に満たない問題
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 10 種類の問題用紙における全95 問の問題のうち,正答率が70%に満たない問題が8 問存在した.正答率が低かった8 問の問題内容は,掲示板等での情報発信やファイル共有,著作権に関する問題等であり,これらの内容に関する知識が相対的に十分ではないことが示唆された.

表2 選択率が高い誤答選択肢

表2 選択率が高い誤答選択肢
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 選択率が15%以上と高かった誤答選択肢を表に示した.小学生を対象とした問題用紙では5 問,中学生を対象とした問題用紙では4 問が該当した.

 誤答内容を見ると,不幸のメールを送り返すという誤答,掲示板への書き込みはいつで取り消せるという誤認識,ブログのコメントの炎上に対する対策の誤認識などの認識の甘さが見られた.また,CD の曲をインターネットで共有してみんなで聴くことは問題ないと思っている誤答,校歌は自分のホームページでも流して良いという誤答,音楽や動画のダウンロードに関する誤認識など,著作権について十分に理解できていないと考えられる誤答が見られた.さらに,撮影許諾を得た写真にも肖像権があることを認識していない誤答,人気キャラクターの利用に対する誤解など,権利関係についての理解に課題が大きい結果が見られた.

 調査に協力した教員からは,「情報モラル学習に気軽に取り組むことができた」「児童生徒が楽しそうに取り組んでいた」など,本教材の設計時に想定した声が届いている.今回の調査と同時に,調査協力者208 名に対し,情報モラル教育に関する指導体制等に関する質問紙調査を行っている.今後は,質問紙調査の結果と今回の調査の結果を合わせて分析していく予定である.

→ネットモラルけんていとは

調査・分析

「ネットモラルけんてい」が実際の児童生徒の活用に適した教材となっているかについて検証するために,学校現場で活用してもらい,その回答分布について調査をしました。集まった問題用紙は17,024枚、ご協力いただいた小中学校の教員は208名でした。

ただ今分析を進めております。発表までしばらくお待ちください。

「ネットモラルけんてい問題集」無料贈呈キャンペーン

平成24年11月1日より30日までの間にお申し込みいただいた教育機関へ「ネットモラルけんてい問題集」を贈呈しました。
北海道から沖縄までの全国の教育機関(教育委員会、教育センター、小学校、中学校、高等学校、大学)よりお申し込みがありました。
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